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人間嫌いのためのアドバイス

ブライアン・カプラン (2013)

僕が10代のときは、本当にたくさんの人間を毛嫌いしていた。上級クラスに入っていない学生、ヘビーメタルが好きなやつ、クラシック音楽が嫌いなやつ、ドラッグでラリってるやつ、スポーツマンタイプ、チアリーダーたち、2人を除いたすべての先生、車のコレクター、スポーツファン、たばこを吸うやつ、お酒を飲むやつ、大学に行かなかった大人たち、宗教的なやつ(特にキリスト教徒)、リベラル、保守、穏健派、哲学的な話がわからないやつ、ダンジョンズ&ドラゴンズをプレーしてないやつ、ダンジョンズ&ドラゴンズをキャラなしでプレーしてるやつ、モンティーホールキャンペーン[1]をやってるダンジョンマスター、クラシック文学が嫌いなやつ、数学や科学を専攻する予定のやつ、貯金してないやつ、ものすごくケチなやつ、ゲイ、ガールフレンドがいるやつ、パンクロッカー、ゴス、手を使って働いてるやつ、チーチ&チョンのファン、IQが低いやつ、そして上記すべてのリストに属する人間とデートしていた女の子たち。

簡単に言えば、僕は、人間嫌いだった。

どうして僕はそんなに人間嫌いだったんだろう? もしそのときの僕にそう質問されていたら、僕は「だってほとんどの人間は最悪だから」と言っていたと思う。 さらに、「どうしてそのリストの人間であることがそんなに最悪なことなんだ?」と聞かれていたら、僕は「自分の人間嫌いを批判するやつ」をただリストに加えていただろう。

幸いなことに、年とともに僕の人間嫌いは徐々に消えていった。 正直な話、典型的な一日なら、僕の気分を害する人は一人たりともいない。 ひとつの理由は、僕は自分に都合のいい世界[2]を作り上げたということだろう。 でも、主な理由は、寛容であることの大事さを学んだからだと思う。 そう、ほとんどの人間は僕とはちがう。 そう、ほとんどの人間と僕とにあまり共通点はない。 でも、そうじゃいけない理由はなんだ? 他の人がどんな人生を送りたいかはその人たちの勝手で、僕とは関係がない。

もし僕が過去に返れたら、10代の自分になんと言うだろう? たぶん以下のようなことだ:

1. ほとんどのケースでは、お前はたわいもないことを気にし過ぎている。 まじめな顔で「ダンジョンズ&ドラゴンズをちゃんとプレーしないのは、なんて悲惨なことなんだ!」と笑わずに言えるか? 「オペラが嫌いなんて、なんて悲惨なんだ!」はどうだ? 無理だろう?

2. ほとんどのケースでは、みんな自分であることを変えるなんて無茶な話なんだ。 誰も選んで低いIQを持ってるんじゃない。 嫌うんじゃなくて、理解しようとする気持ちが大事だ。

3. じゃあ、その人が改善することができる性格の欠点を持っている場合はどうだろう。 だいたいにおいて、その欠点の被害者はその人自身だ。 ほうっておいたら、自分で学ぶんじゃないかな。

4. お前の人間嫌いだってその改善することができる性格の欠点だ。 上の3で言ったように、お前の欠点によって被害を受けているのはお前自身だ。 ほとんどの人間はお前の人間嫌いについてはまったく気づいていない。 お前はそれによって毎日みじめな気持ちになるにも関わらずだ。 ささいなことに腹を立てるのをやめると、だいぶ気が楽になるもんだ。

5. お前の人間嫌いを直せば、自分の人生を向上することにフォーカスできる。 毎日いつでも、前向きに、建設的に生きるんだ。 誰を責めるかを考えるんじゃなくて、どうやったらイヤな経験を回避できるかを考えるんだ。 イヤなことに思いを巡らせている時間をすべて、好きなことをするのに使ったらどうだろう。

6. もしお前が世界の1%の人しか話す価値がないと信じているなら、その1%を探す努力をしたほうがいい。 彼らの少なさを嘆くんじゃなくてね。 お前が人当たりのいい人間なら、将来友達になるかもしれない人の選択肢も増えるってもんだ。 そうすれば楽しくない人生に文句を言う人生じゃなく、本当に楽しい人生を送れるだろう。

さて、10代の僕はこのアドバイスに納得しただろうか? 実は、僕は納得しただろうと思う。 僕は経験によってはゆっくりしか学ばないけれど、はっきり言われるとはやく学べるタイプの人間だからだ。 もしもっと賢くなった自分との20時間の会話ができたなら、僕は何年も早く人間嫌いをやめていただろうと思う。

でも、遅くても何もないよりはまし、って言うしね。



[1] The Monty Haul Campaign
[2] My Beautiful Bubble



オリジナルの記事: I Was a Teenage Misanthrope by Bryan Caplan
翻訳公開: 2014年7月

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